スタンディングデスクを使用する際には、高さ調整がとても重要です。人それぞれ身長が異なるように、最適な高さもそれぞれ違います。スタンディングデスクの高さが合っていないと快適性が失われ、作業や勉強に集中できません。すぐに疲れてしまうだけでなく、そのまま使い続けると腰や首・手首など体に痛みが生じる原因となったり、普段の姿勢が悪くなったりと悪影響があります。
本記事では、スタンディングデスクの高さの決め方・目安について取り上げたいと思います。
加えてPCモニターの高さと、椅子の高さについても取り扱います。
スタンディングデスクは、立ったり座ったりを繰り返すのが基本的な使い方なので、椅子の高さ合わせも重要です。
慣れてくれば、運動しながらスタンディングデスクを使うことで椅子は不要になりますが、まだ慣れていない人や精密な作業を必要とする人は椅子も合わせて調整して使用するのが良いでしょう。
以下の調整方法は、最初の高さを決める目安になりますが、最適なセッティングは個々人によって異なります。実際に使ってみて違和感がある場合は、少しずつ変化させ自分にとってベストな状態を見つけ出してください。
高さ決めの流れ
今回、調整したいのは以下です。
- 立位(立った姿勢)での机の高さ
- 座位(座った状態)での机の高さ
- PCモニターの高さ
- 椅子の高さ
これらを調整する手順をフローチャートで表すと
graph LR;
A((身長)) --> B[立位での机] --> C[PCモニター];
A -.低い椅子を使う場合.-> E[椅子] --> D[座位での机];
B -.高い椅子を使う場合.-> F[椅子];
となり、使う椅子が高いか低いかによって少し変わります。ここで言う椅子は、
- 低い椅子:座った状態で足の裏全体が地面につけられる、一般的な椅子。
- 高い椅子:座ると足の裏全体、または一部が浮く座面の高い椅子。カウンターで見かけることが多い。
です。高い椅子であれば、机を立位での高さから変えずに使えるため、机の高さを下げることは考えなくて良くなります。
高さ調整1. 立位での机
立った状態での机の高さ、つまりスタンディングデスクの高さは、以下の状態になるように調整しましょう。
- 背筋を伸ばしてまっすぐ立ち、肘を90~110度曲げた状態で快適に机の上の道具に触れられる
机の上の道具というのは、キーボードやマウス、ノートやペンなど、作業中に触れている道具のことを指します。
快適な肘の角度は90~110度と言われているので、まずは肘の角度90度の高さに合わせ、様子を見ながら徐々に下げて微調整していくと最適な位置が見つかるかと思います。
高さ調整2. PCモニター
スタンディングデスクの高さが決まったら、PCモニターを調整しましょう。
PCモニターは、以下を満たすと快適になります。
- 高さ: モニターの最上部~上部3分の1程度に目の高さが来る。
- 角度: 地面と垂直な角度から10~20度程度、上向きに傾ける。
- 距離: 40~75cm程度、目から離す。
デスクトップPCを使用しているのであれば、モニターアームを利用すると自由に調整できます。ノートPCの場合は、モニターが適切な位置にくるように台に乗せ、手元に外部接続のキーボード・マウスを使用すると快適です。
高さ調整3. 椅子
上で少し説明しましたが、座面の低い椅子と高い椅子とでは調整が少々異なります。座面が高い椅子の中では、普通に座るものだけでなく、ちょい掛けする(寄りかかる)ようにして使用するタイプも存在しますので、ここでは以下の3つに分類します。
- 低い椅子
- 高い椅子(座るタイプ)
- 高い椅子(ちょい掛けタイプ)
低い椅子
足の裏全面を地面につけて使用する一般的な高さの椅子(オフィスチェアやゲーミングチェアなど)は数多くの製品があり、快適性が追求されたものも存在します。ここではこれらを「低い椅子」と呼び、この椅子と組み合わせて使用する机は、高さ調整1で設定したスタンディングデスクの高さよりも下げて使用することになります。
低い椅子の座面の高さは、以下を満たすように調整します。
- 足の裏全体が地面に接した状態で、膝の角度が90~110度となっている。
- 太もも全体が座面に接している。
高い椅子(座るタイプ)
座ると地面から足が浮く、またはかかとが浮くような座面の高い椅子(カウンターチェアや製図用チェアなど)を使用する場合には、スタンディングデスクの高さは固定したまま、立位と座位を切り替えて作業ができます。低い椅子(一般的な椅子)と比べて選択肢が少なく、比較的快適性には劣るかもしれませんが、座る時間を極力短くしたい人にとってはちょうどよいかと思います。足置きのある物であれば、低い椅子と近い感覚で座れるのでオススメです。
高い椅子は、高さ調整1で決めたスタンディングデスクの高さを基準に調整を行います。以下を満たすように座面の高さを調整すると快適になるはずです。
- 背筋を伸ばしてまっすぐ座り、肘を90~110度に曲げた状態で快適に机の上の道具に触れられる。
足置きの高さを変えられる椅子であれば、座面高さを調整したあとに、太もも全体が座面に接し、膝の角度が90度程度になるように調整すると良いでしょう。
高い椅子(ちょい掛けタイプ)
スタンディングデスク用の椅子として、お尻から太もも全体を完全に座面に乗せるのではなく、お尻の一部だけを乗せたり(ちょい掛け)、寄りかかるようにしてしようするタイプの椅子があります。スタンディングデスクにある程度慣れた上級者向けの椅子で、「スタンディングチェア」と呼ばれることが多いようです。このような椅子は、立っている状態でよりかかり、足にかかる負担を椅子に分散させるように使用します。高さは、立ちながら寄りかかったときにお尻から腰あたりが触れるようにするとちょうど良くなるかと思います。
快適さを求めたものというよりは、体を硬直させたままにしないことを目的にした製品のため、寄りかかっている(座っている)状態から、いかにすぐ体を動かせるかに重点を置いて調整することをオススメします。
高さ調整4. 座位での机
この調整は、低い椅子を使用する場合にのみ必要になります。高さ調整3で決めた椅子に座った状態から、机の高さを決定します。以下を満たす位置を探しましょう。
- 背筋を伸ばしてまっすぐ座り、肘を90~110度に曲げた状態で快適に机の上の道具に触れられる
立位での机の高さ決め(高さ調整1)と同じく、まずは肘の角度が90度になる高さにし、違和感があれば徐々に下げて微調整していくと早く最適な位置が見つかると思います。
計算ツール
身長から、机と椅子のちょうど良い高さをある程度わかります。以下の計算ツールを使用してみてください。算出された数値からまず試してみて、その周辺を探るように微調整していくと快適な場所が見つかるはずです。ここでの高さは裸足の裏が基準となり、マットや履物の厚さを考慮していないのでご注意ください。PC作業をメインにする人は、机の高さを5センチ程度低めに設定するのが良いかもしれません。高さの最小値・最大値も表示されますが、体格は人それぞれなので、必ずしもその範囲に快適な値があるとは限りません。
後付で微調整する方法
スタンディングデスクの種類によっては、高さを変えるのが手間だったり、調整範囲に制限がある場合もあるはずです。そんなとき、比較的手軽に微調整できる方法があります。
- 足下にマットを敷く、または室内シューズ・スリッパを履く (→相対的に机が下がる)
- 椅子の上にクッションを敷く(→相対的に椅子が上がる)
- 机の足下に板を挟む(→相対的に机が上がる)
これらは単純な方法ではありますが、微調整・カサ上げに役立つでしょう。
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