土を使わずに観葉植物を育てる方法もありますが、鉢の中に土を入れ、植物を育てる方法が一般的です。
土を使う場合、選ぶ土を間違えると簡単に植物が枯れ、また、ときには虫やカビが発生します。
しかし土と言ってもかなり多くの種類があり、とくに初心者の方にとってはどれを選べば良いのかわからず迷ってしまいます。
ここではそんな方向けに、土選びのポイントについて取り上げようと思います。
好ましい土の特性
植物を健康に維持するために
適切な土を選択すると植物は枯れづらく、元気な状態の維持が容易になります。
観葉植物にとっては、以下のような特性を持つ土が理想とされています。
- 排水性、保水性のバランスが良い
- 保肥性がある
- 通気性がある
- 酸度 (pH) が中性 ~ 弱酸性
- 異物(害虫、病原菌)が混入していない
- 肥料が入っている
観葉植物を枯らしてしまう多くは、根腐れが原因です。
根腐れを起こりづらくし、枯らしてしまうリスクを大きく下げるには、排水性(水はけ)の良い土を選ぶ必要があります。
一方で、まったく水を含むことができないと、植物が吸収する前に土が乾燥してしまうため、保水性もある程度必要です。
また植物がゆっくりと吸収するまでの間、土が栄養を保持するだけの保肥性だけでなく、根から酸素も吸収できるように、土の通気性も重要です。
団粒構造になっている土であれば、排水性、保水性、保肥性、通気性のすべてを持っており、植物育成にとって理想的な土と言えます。
この団粒構造というのは、土壌粒子が集まって塊を形成している状態で、塊には空間が存在しているため、水分や肥料分を保持でき、空気や水の通り道も確保できるというわけです。
他にも、品種によっても変わりますが、基本的に植物は中性から弱酸性(pH5.0~6.8)の酸度の土が好ましいと言われています。
極端な酸性またはアルカリ性に傾いた土の場合は、根が土から養分を吸収するのを阻害ため、気にかける要素の1つになります。
また、植物に危害を加える害虫や病原菌等の異物が土に混在していないことも大切です。
肥料は植物が大きく成長するためには必要ですが、観葉植物のサイズをあまり大きくしたくない場合や、植物の品種によってはほとんどなくても問題ありません。
足りなくなった場合は、あとから追肥することもできますので、土選びの際は肥料が入っていないものを選択しても調整可能です。
虫を湧きにくくするために
植物の成長には直接問題にならないかもしれませんが、やはり観葉植物を置いておく場合、虫の発生は避けたいものです。
観葉植物を室内に置いているにもかかわらず、虫が湧いてしまう原因の多くは土にあります。
以下のような土であれば、虫が発生にしくくなるはずです。
- 排水性が良い
- 有機肥料が含まれない
常に水で湿っているジメジメした場所を好む虫は多いです。
そのため排水性(水はけ)の良い土であれば、虫の住み着くリスクが低くなります。
カビの発生も抑えられます。
堆肥等の有機肥料が土に入っていないか、これも虫の発生にとって重要な点です。
有機肥料は、土野中の微生物によって分解されていきますが、微生物だけでなく虫も分解しにやってきます。
実は、虫が土に住み着くと有機肥料の分解が進むので、土壌の改良には役立つのです。
といっても見栄えや衛生面の観点からは虫を避けたいので、有機肥料が使われていない土が良いでしょう。
有機肥料の使用は、長期的な栄養供給や土壌改良をしたいときに検討するのが良いです。
土選びのポイント
ここまで、どういった特性を持った土を使うのが、観葉植物の育成にとって良いのかを説明しました。
では実際に土を選ぶときに、どこに注目して選択するのが良いのか解説します。
土の種類
土といっても、赤玉土、鹿沼土、腐葉土、ピートモス等、さまざまな名前のものがあります。
一体どれを選べば良いのかと悩むことになりますが、手軽に用意したい方や初心者の方は、培養土を選択することをオススメします。
培養土というのは、「観葉植物の土」といった特定の用途向けにブレンドされた土のことで、観葉植物の場合は「観葉植物用」「多肉植物用」の土を選択することになります。
最初に挙げたような基本用土や改良用土と呼ばれる土は、他とブレンドして使うことがほとんどで、使用するまでのハードルが少し高いです。
使用するそれぞれの土を購入し、比率を考えて混ぜこむ、という作業が必要で、余った土の置き場所も必要になるためです。
培養土であれば買ってすぐ使えるので、とても手軽に準備ができます。
観葉植物向けに調合された培養土は、排水性に特化した製品が多く、根腐れしにくく虫も発生しづらい特性を持ちます。
同時に、必要な保水性・通気性・保肥性も満たしているものがほとんどのはずです。
「pH調整済み」等の記載があれば酸度を気にする必要もなく、よほど変なメーカーでなければ害虫・病原菌等の異物が入っていることも稀でしょう。
そのため培養土を使うことで、観葉植物の生育しやすい環境を比較的手軽に作れるということになります。
肥料の種類
売られている培養土には、肥料の配合された元肥入りの土が多くあります。
ここで オススメなのは、虫が湧きづらい、有機肥料が入っていない土です。
原料に「〇〇堆肥」「有機肥料」等の記載がある商品は、有機肥料入りになるので避けたいところです。
一方で「〇〇化成肥料」「化学肥料」「即効性肥料」等の場合は、虫が比較的寄り付きづらい化学肥料になるので、含まれていてもあまり問題になりません。
「緩効性肥料」の記述は、有機肥料か化学肥料か断定できないので、それだけでは判断できません。
化学肥料でも固体(緩効性)の場合、確率は低いですが、虫が来ることもあります。
その場合は、肥料の含まない土(加熱土やハイドロボール等)で表面を覆うことで改善されるはずです。
また緩効性肥料は使わず、即効性肥料のみまたは肥料を入れないという選択をすると、さらに虫の発生リスクが低くなるので、「念には念を」という人はこちらを選ぶと良いでしょう。
虫の発生リスク:有機肥料 >> 緩効性の化学肥料 > 即効性の化学肥料
容量
土を購入するときには、必要十分な容量か確認することも必要です。
植木鉢の大まかなサイズと必要な土の量は、下記になります。
植木鉢サイズ | 植木鉢直径 | 土の容量 | |
---|---|---|---|
小鉢 | 3 ~ 5号 | 9 ~ 15cm | 0.3 ~ 1L |
中鉢 | 6 ~ 8号 | 18 ~ 24cm | 2.2 ~ 5.1L |
大鉢 | 9 ~ 11号 | 27 ~ 33cm | 7.8 ~ 10L |
小鉢は手の平サイズ、中鉢は腕で抱えて持てるぐらいのサイズ、大鉢はシンボルツリー・庭木向けのサイズになります。
量が多い土は、単位容量あたりの値段は安い傾向にありますが、余り過ぎても邪魔になるだけなので、多ければ多いほど良いとも言えません。
初心者の方やインテリアとして小さいものを楽しみたい方は、小容量あれば十分かと思うので、とくにネット購入する場合などは量が多すぎないかチェックしましょう。
オススメの土
観葉植物を植えるのにオススメの土をご紹介します。
プロトリーフ 室内向け観葉・多肉の土
- 元肥:即効性化学肥料、緩効性化学肥料
- 原材料: 鹿沼土、パーライト、赤玉土
- pH:調整済み
- 容量:
水はけがよい配合の土です。
2種類の化学肥料が含まれており、短期的・長期的な栄養供給が期待できます。
水に濡れると土の色が変わり、水やりのタイミングをつかみやすいのが特徴です。
3種類の容量があるので、自分の用途にあったものが選択できます。
ハイポネス 観葉植物用培養土 お家の中でも清潔なサボテン・多肉・観葉植物の土
- 元肥:緩効性化学肥料
- 原材料:ボラ土、軽石、マグァンプ中粒、リキダス顆粒
- pH:調整済み
- 容量:
こちらも水はけの良い土で、根腐れが起こりにくいです。
植物の根の成長を助ける化学肥料が配合されています。
2種類の容量サイズがありますが、3Lの方が金額的にはお得です。
まとめ
観葉植物を枯らしにくく、かつ虫が発生しにくい手軽な土の選ぶポイントについてご紹介しました。
ここでは、市販の調合済みの培養土をオススメしましたが、慣れてきたら一から自分で土を配合したり、微調整したりするのも楽しいと思います。
土選びは重要ですが、日常的なお世話の仕方によっては観葉植物を枯らしてしまいます。
お世話の基本については下記で取り扱っているのでご参考に。
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