室内で育てている観葉植物に虫は発生してもらいたくないですよね。
目にするだけで不快になりますし、虫の種類によっては植物に直接危害を加える弱らせ枯らしてしまうものまでいます。
定期的に植物をよく観察して、植物自体に異常はないか、虫が付着していないか確認することが大切です。
植物に異常があったときには、その症状の原因が虫ではないか検討し、疑わしい場合は隅々まで虫がいないか探してみましょう。
虫をみつけた場合は問答無用で除去しても構いませんが、その前に虫の種類を調べ、駆除した後に発生原因に対して対策を行うと再発防止の確率が上がります。
本記事では、虫によって発生する植物の症状、観葉植物でよく見られる虫の種類と駆除方法について説明します。
まだ虫の被害にはあっておらず事前に対策をしておきたい方、虫が一度発生してしまい、その原因を特定したい方は下記記事が参考になると思います。
>> 【観葉植物】どうして虫が発生する?害虫の発生原因への対策と予防
害虫による植物の症状
害虫は植物の持つ養分を吸汁し、植物を弱らせます。
そのまま放置すると、場合によっては植物は病気になってしまったり、枯れることもあります。
下記のような症状がみられた場合は、植物に害虫が付着している可能性があります。
葉の裏や新芽等、植物の表面をよく観察してみましょう。
- 葉の色が黄色・黒色っぽくなった、色ツヤが悪くなった
- 葉先がカールしている部分がある
- 葉や茎に小さい斑点が見られるようになった。
虫の種類
観葉植物の周りに発生する虫は2種類に大別できます。
1つは植物に直接危害を加える「害虫」で、もう1つは植物に害はないが人の気分を悪くさせる「不快害虫」です。
害虫
害虫は植物に直接被害をもたらす虫であるため、発生したらできる限り早く駆除しなければ植物が弱ってしまいます。
葉や茎等の、植物の地上部に付着していることが多く、葉水によって予防できます。
アブラムシ
アブラムシは、黄緑色・黒っぽい色・白っぽい色等さまざまな色の種類がいますが、体長は約2~3mほどで水玉のような形をした虫です。
屋外で発生しやすいですが、室内にも侵入してくることがあり、メス1匹でも増殖します。
葉の裏に寄生していることが多いですが、茎・枝先・新芽からも吸汁します。
吸汁された植物は、出てくる新芽が縮れたような形になります。
またアブラムシの排泄物はアリを誘発するだけでなく、カビを発生させ植物をすす病にさせる可能性があります。
ハダニ
Source: wn work, Author: Paramecium
ハダニは1匹1匹が小さく目視しづらいですが、糸を袋状にした巣を作るクモの一種です。
乾燥した気温の高い場所を好み、一気に繁殖します。
葉の裏に寄生することが多く、寄生されると植物の葉色が黄・白っぽくなったり色つやが悪くなったりします。
アブラムシと同様に、排泄物によって植物が病気になることがあります。
葉水により予防できますが、寄生してしまうと巣に覆われているため、スプレータイプの殺虫剤では届かない可能性があります。
カイガラムシ
2~3mm程度のカイガラムシですが、黒い殻で覆われた小さなダンゴムシのような形状のものや、白い綿のような見た目のものもいます。
埃っぽい密閉した空間で発生しやすいと言われており、植物の葉や茎・枝にいることが多いです。
黒い殻を持つカタカイガラムシは葉や枝に固着し、白い綿状のコナカイガラムシは葉の付け根等の隙間に集まります。
吸汁し植物を弱らせるだけでなく、排泄物はアリを誘引したり植物を病気にしたりします。
幼虫であれば殺虫剤が有効ですが、成虫になると殻やロウ物質等で覆われておりスプレータイプの殺虫剤は効果が弱くなります。
一度発生すると、目で確認しづらい小さい卵が植え付けられ、再度発生することが多いため、長期的に殺虫剤を散布する等の対策をする必要があります。
植物を風通しの良い場所に置いておけば発生予防になります。
コナジラミ
Source: own work, Photographer: gaucho
白い粉の付いたセミのような形状の羽を持ち、1~3mm程度サイズの虫がコナジラミです。
畑でよく見られる虫ですが、乾燥した気温の高い場所であれば室内でも発生します。
繁殖力が高いため、一度寄生されると周りの植物にも被害の広がる可能性があります。
成虫は葉に卵を植え付け、幼虫は葉の裏面に集まることが多く、吸汁されると葉色が黄・白っぽくなります。
甘くベタベタの排泄物により、植物に病気を引き起こす可能性もあります。
不快害虫
不快害虫は植物に直接危害を加えるわけではないので、放置していても植物が弱ることは稀です。
しかし大量に増殖するものも多く、観葉植物の外観が損なわれます。
またゴキブリのように、不衛生な場所から菌を持ち運ぶ虫も不快害虫に含まれます。
このような虫は人の健康にも悪影響を及ぼす可能性がでてきますので、駆除と対策を行うのがオススメです。
土壌の入った植木鉢部分に発生する虫が多いです。
コバエ
Source: James Lindsey’s Ecology of Commanster Site, Author: James K. Lindsey
観葉植物に発生するコバエのほとんどはキノコバエだと言われています。
体長1~4mmの黒い体を持ち、蚊のような見た目で、人体や植物に直接被害は与えません。
成虫の寿命は2~3週間程度ですが、一度に200~300個の卵を土の表面に産みます。
幼虫は土の中に2週間住み着き、土壌中の有機物を食べます。
体長4~5mmほどで茶褐色の体をした、蛾のような見た目のチョウバエは、人に健康被害を及ぼす可能性がある衛生害虫です。
食品に付着・産卵することがあり、気づかずそのまま食してしまうと病気になるリスクがあるためです。
いずれのコバエも、湿度が高く有機物の多い場所を好みます。
有機質の土壌や肥料を使用しないことで予防ができます。
当然ですが、生ごみ等の有機物で汚れやすい汚い台所回りにも湧きやすいので、日ごろきれいにしておきましょう。
アリ
アリ自体は植物に直接被害を与えません。
ただしアリが発生したということは、甘い排泄物を出すアブラムシやカイガラムシ、コナジラミのいずれかの害虫が寄生している可能性が高いです。
放置するとアリの発生原因となっている害虫によって植物が枯れることになるので、植物をよく観察しましょう。
害虫の駆除の方が優先ですが、アリの駆除をしたいときには専用の殺虫剤が使えます。
トビムシ
トビムシは体長約1mmの赤褐色の虫でさまざまな形状の種類がおり、有機物の残留している高湿の場所を好みます。
植物に被害はなく、逆にバクテリアや菌を食べ土壌の分解を促進させ、植物の生育の役に立つため益虫として知られています。
しかし大量に増殖して厄介なため、不快害虫として扱われています。
受け皿に長期間たまった水や、常に濡れた土壌に発生しやすいため、受け皿の水はこまめに捨て、有機質の土壌や肥料を使用しないことで発生するのを予防できます。
ゴキブリ
言わずと知れた不快害虫で、高温多湿を好みます。
常に湿っている植木鉢に発生しやすく、とくに鉢と受け皿の間の隙間や土の中潜んでいることがあります。
雑菌を持ち込み、人体に健康被害を与える可能性がある衛生害虫でもあるので、市販の殺虫剤を使ってしっかりと駆除しましょう。
数ある殺虫剤の中でも、設置型の毒入り餌であるブラックキャップはとくに強力で、設置後は部屋内で見かけることがなくなりました。個人的にも本当にオススメです。
虫の駆除方法
育てている観葉植物の周りに虫がすでに発生してしまっていた場合は、そのまま放置すると増殖する可能性が高いです。
また、付着しているのが害虫であった場合は、植物がしだいに弱り、そのうち枯れてしまうリスクもあります。
害虫を発見し次第、早急に駆除をしましょう。
植物自体には被害がない不快害虫の場合は、不快と感じない人であればそのままでも問題ないですが、本当に植物に害を及ぼさない虫かどうか確認が必要です。
上でも述べましたが、中には雑菌を持ち運ぶ衛生害虫も多いので駆除しておくのが無難です。
虫を吸着する
マスキングテープ、セロハンテープ、ガムテープ等のテープ類に直接虫を貼り付け、植物から除去する方法があります。
葉や茎に付着した、目で確認できる範囲にいる虫に対して効果的です。
虫を周囲に拡散させにくいため、近くの植物に被害が移動する、虫を取り逃がすということが起こりにくい方法と言えます。
植物に貼り付けたのテープを剥がすときは、虫と一緒に張り付いた植物の葉や枝等を傷めないように、ゆっくり丁寧に剥がすよう気を付けましょう。
虫をこすり落とす
綿棒やブラシ等で、植物表面に付着した害虫をこすり落とすのも良い方法です。
テープではうまく除去できない狭い隙間にいる虫の除去や、固着しており植物からはがすのが困難な場合に有効な方法となります。
タオルやティッシュ等も同じように利用可能で、植物自体をできるだけ傷めないように、優しくこすることを心がけましょう。
直接ピンセットで1匹1匹、虫を摘まみ取る方法も有効な手段です。
植物の一部分を切り落とす、剪定する
虫による被害の範囲が植物の一部分だけであれば、思い切って虫と一緒に葉や枝を切り落とすことも可能です。
ただし切る範囲が大きい場合は、植物への負荷も大きくなるため、暖かい生育期に行うのが無難でしょう。
葉を数枚落とす程度であれば、あまり季節を気にしなくても大丈夫なはずです。
薬剤を散布する
市販の殺虫剤を使用すれば、目で確認できないほど小さい虫や隠れた場所に寄生している虫にも効果があります。
また虫の数が少ない場合は、他の駆除方法でも良いですが、大量に発生してしまった場合は薬剤に頼らざるを得ません。
一ヶ月程度の予防効果のある製品も多く、再発防止にもなります。
主には、植物の地上部に噴霧して使用するスプレータイプ(または液体を希釈し散布するタイプ)と、土壌に撒く固形タイプがあります。
駆除したい害虫がはっきりしている場合は、その虫に特化した製品を使用するのが良いでしょう。
オススメの殺虫剤は下記にまとめました。
使用する際には、製品記載の使用方法を守ってください。
オススメの薬剤
製品情報や口コミ情報をもとに、今回登場した各虫に対しての各殺虫剤の効果をまとめた表が下記になります。
駆除したい目的の虫がはっきりしている場合は、その虫に効果のある殺虫剤を選択すると失敗が少ないです。
害虫全般に効果の期待できる汎用的な殺虫剤を手元に置いておきたい場合は、スプレータイプの殺虫剤①を選ぶのが良いでしょう。
効果のある虫 | 殺虫剤① スプレータイプ | 殺虫剤② 希釈タイプ | 殺虫剤③ 固形タイプ | 殺虫剤④ スプレータイプ | 殺虫剤⑤ 固形タイプ |
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アブラムシ | ○ | ○ | ○ | ||
ハダニ | ○ | ○ | |||
カイガラムシ | ○ | ○ | |||
コナジラミ | ○ | ||||
コバエ | ○ | ||||
アリ | ○ | ||||
トビムシ | ○ | ||||
ゴキブリ | ○ |
殺虫剤① ベニカ×ファインスプレー
- スプレータイプ
- 対象の虫:アブラムシ、ハダニ、カイガラムシ
観葉植物に寄生する害虫を幅広くカバーした殺虫剤で、手元に1本あると心強い、人気もある商品です。
植物に付着している虫の特定が難しい場合には、とりあえずこの殺虫剤を使ってみるのが良いでしょう。
一ヶ月程度の予防効果があり、害虫発生の予防だけでなく、植物の病気に対しても予防効果があります。
殺虫剤② キング園芸 マシン油乳剤
- 希釈タイプ
- 対象の虫:アブラムシ、ハダニ、カイガラムシ
液体の殺虫剤で、希釈して使用するタイプです。
体全体を殻やロウ物質で覆っているため、通常の殺虫剤では効果の薄いカイガラムシにも大きな効果が期待できる殺虫剤です。
カイガラムシの駆除を考えている場合にはとくにオススメと言えます。
殺虫剤③ アースガーデン 園芸用殺虫剤 BotaNice 土にまくだけ虫退治
- 固形タイプ
- 対象の虫:アブラムシ、コナジラミ
土壌の上に粒を撒く固形タイプの殺虫剤です。
植物が根から殺虫成分を吸収することで、吸汁する虫を駆除できるため、目で確認できない場所にいる害虫に対しても効果があります。
持続性・即効性にも期待ができる殺虫剤です。
殺虫剤④ 虫コロリアース エアゾール 不快害虫用殺虫スプレー
- スプレータイプ
- 対象の虫:コバエ、アリ、トビムシ
多くの不快害虫に効果が期待できる、スプレータイプの殺虫剤です。
即効性と一ヶ月程度の予防効果もあり非常に強力ですが、植物に直接吹きかけるのは薬害の出る恐れがあるため非推奨とされているので注意です。
ドアや窓枠に吹きかけ、室外からの侵入を予防するのにも使用できます。
殺虫剤⑤ ブラックキャップ
- 固形タイプ
- 対象の虫:ゴキブリ
誰もが可能な限り遭遇したくないであろう、ゴキブリに非常に効果を発揮する薬剤です。
毒入りの餌が黒いケースに入っており、その状態で室内に設置する固形タイプです。
流しの下や冷蔵庫の裏などの隙間に設置すると効果的ですが、植木鉢周りの隙間にも設置することで、土壌に住み着くのを防げます。
まとめ
育てている観葉植物に虫が寄生したとしても、大量に増殖する前に駆除したいものです。
そのためには日ごろ植物をよく観察し、表面に虫が付着していないか、虫が寄生したときの症状が出ていないかチェックしましょう。
虫を見つけたらできれば種類を特定し、早期に駆除・対策をすれば大きな問題になりません。
虫が発生してしまう前にできる予防策も多くあります。
下記記事を参考に、虫の発生しやすい環境になっていないか確認しておくのも良いでしょう。
また発生してしまった後も、再発を防止するために植物周りの環境を見直し、原因を取り除くことが重要です。
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