観葉植物を室内で育てているにもかかわらず、植物の周りに虫が発生することもあります。
その虫が害虫であった場合、植物を弱らせてしまい、害虫でなかった場合でも視界に入れば不愉快に感じる人が多いはずです。
植物に直接危害を与える前者の虫を害虫、植物には被害を与えないが人の気分を害する後者の虫を不快害虫として区別されます。
本記事では、室内の観葉植物に(害虫・不快害虫にかかわらず)虫が発生してしまう原因と、その対策方法について解説します。
これらの内容を実施すれば十分な虫予防になるはずなので、虫による被害に遭いたくない人はチェックしてみてはどうでしょうか。
虫の発生原因
植物周りに虫が発生しないように対策するためには、虫の発生原因を知っておくのが効果的です。
虫が発生してしまう理由は、下記の4つで主に説明できます。
- 侵入に対して注意不足: 虫が屋外から侵入しやすい状況を頻繁につくっている。 → 対策1
- 水分の管理が不適切: 植木鉢周りが常にジメジメしている。植物表面が乾燥している。 → 対策2
- 有機物質が長時間存在: 有機質の土・肥料を使用している。枯れた植物を放置している。 → 対策3
- 植物の状態が不適切: 植物が不健康状態になっている。 → 対策4
これらが複合的に問題となるケースも考えられますが、4つの原因それぞれに対策しておくことで、事前に虫の発生確率を大きく下げられるはずです。
以降では、上記4つの原因に対する対策法+1つの予防法 の計5つの方法について説明します。
5つの方法を徹底して継続していれば、害虫・不快害虫問わず、虫に悩まされることがなくなるはずです。
「どうしても虫は見たくない!」「虫によって植物を枯らせたくない!」という方は5つの対策を網羅しているか、しっかりと予防できているか確認しましょう。
対策1. 屋外からの侵入を防ぐ
植物に寄り付く虫は、元を辿ると家の外からやってきていることがほとんどです。
根本的な対策としてまず、家の中に侵入できる機会を可能な範囲で減らしましょう。
購入した植物に付着した虫を排除
購入した植物や他人からもらった植物は、どのような環境下で育てられたのかわかりません。
そのため、自分の手に渡った時点ですでに虫が住み着いている可能性があります。
植木鉢の中の土壌には虫・卵が混入していることがあるので、土の入れ替えをするのが良いです。
植替え方法は下記記事が参考になるかと思います。
>>【観葉植物】植え替えのタイミングと方法は?
このとき使用する土には、有機質成分は含まれていない、無機質成分のみで構成された土壌を使用するのがオススメです(対策3参照)。
植物の茎や葉の部分にも、虫や卵が付着していることも考えられるため、植物の表面をよく観察し、全体を水洗いや水拭きしてきれいにしておけば安心です。
- 植物を入手した直後に土を入れ替え、葉や茎はきれいにする。
日常での侵入経路に意識
当然ですが、家には人が出入りし、人だけでなく物も出入りします。
そのタイミングで、虫を部屋の中に連れ込む可能性は十分に考えられます。
完全に防ぐことは難しいですが、日常的に虫を入れないように意識するだけでもリスクは軽減されるはずです。
具体的には、下記のような対策があります。
- 家に入る際には、身体や衣服全体を手で軽く払い、虫が付着していないことを確認する。
- 洗濯物を取り込む際に、全体を軽く手で払う。
- 時間、ドアや窓を開けっぱなしにしない。
- 植物を屋外に置かない。
- 室内に虫が入り込むルートを日常的に減らす。
対策2. 植物周りの湿度や水気を適度な状態に維持する
植物の周りに虫が住み着き増殖するのを防ぐため、湿度や水気を適切な状態に維持することも重要です。
水の与え方や植物を置く場所が合っていないと、虫にとって居心地の良い環境を作り出してしまっているかもしれません。
植木鉢(土壌や受け皿等)の部分は乾燥気味に、植物(葉や茎等)の部分には逆に水を与えることを意識するのがポイントです。
定期的な植木鉢周りの乾燥
土が常にジメジメ湿っている、長い期間受け皿に水が溜まっているということがあると、植木鉢は虫たちにとって住みやすい状態になってしまいます。
高湿状態が長期間続く状況は避け、定期的にある程度乾いた環境を作り出す必要があります。
水やりは土が乾いた後にし、受け皿に溜まった水は忘れずに捨てましょう。
また、薄暗くじめっとした湿度の高い場所に植物を置くと、水分が残留しやすい環境となるため、風通し・日当たりの良い場所に置いてあげるのが安心です。
風通しと日当たりの良い場所に植物を置くと、健康的に生育できるため、植物自体が害虫の被害にも遭いづらくなるという効果も期待できます(対策4)。
- 土への水やりは一度乾いた後に行い、受け皿の水は捨てる。
- 風通し・日当たりの良い場所に植物を置く。
植物の葉や茎への水やり
乾いた植物の表面を好む害虫が存在し、とくに、葉の裏や新芽の部分が被害に遭いやすい部分です。
葉や茎を含む、植物全体に霧吹き等で水をふきかける「葉水」を与えると、このような害虫からの予防になります。
濡れたタオル等で優しく拭いて、表面を湿らせるのも良い方法です。
葉の表面のほこりを落とし、植物の外観を損ねないということにもなるので、定期的に行ってあげるのをオススメします。
- 葉や茎等の植物全体に水分を与える。
対策3. 有機質成分の匂いを抑える
土壌の中に動植物由来の有機質成分が含まれていると、虫が分解を行いに、匂いにつられて寄ってきます。
虫によって有機物が分解されると土壌は肥沃になるため、このような虫は植物にとっては益虫と言えますが、室内で観葉植物を生育している人にとっては不快害虫に当てはまることが多いかと思います。
増殖すると本当に不快になるので、有機質成分は観葉植物周りではできるだけ排除することをオススメします。
無機質の土壌・肥料を使用
腐葉土や堆肥のような有機質の土壌・肥料は使用せず、無機質の土壌や化学肥料のみを利用することで、虫を引き寄せる有機物のほとんどをなくすことができます。
よくわからない適当な土壌を使用すると、有機質の土や元肥が含まれている可能性があるだけでなく、消毒処理が不十分であることにより虫の卵が混入しているリスクもあります。
土選びの際には、何が含まれているのかをよく確認してから使用しましょう。
観葉植物に与える肥料も、有機肥料ではなく無機質のみで構成されている化学肥料のみを使うようにしてください。
>>【観葉植物】失敗しにくい土の選び方のポイントとオススメは?虫対策も
また通常の土壌栽培ではなく、ハイドロカルチャー等の水耕栽培で植物を生育するのも1つの方法です。
ハイドロカルチャーで使用するのはハイドロボールと呼ばれる無菌の人工土やジェリーボール等であり、有機質の土や肥料を使用しないため虫を呼び寄せにくいと言えます。
>> 土を使わないハイドロカルチャー(水耕栽培)とは?特徴と土耕栽培との比較
一方で、有機質の土壌や肥料は、上で述べた通り土壌環境を改良する働きもあります(虫がいなくても、微生物が有機物を分解してくれるため)。
この効果を取り入れるため、有機質の土壌や肥料をどうしても利用したい場合は、無機質の土やマルチング材で表面を覆い、匂いを封じ込めることで虫が寄ってくるリスクを軽減できます。
- 無機質の土壌、肥料のみを使う。
- ハイドロカルチャー等の水耕栽培で植物を育てる。
- 有機質の土壌・肥料を覆いかぶせ、匂いの拡散を防ぐ。
鉢の周りを清潔に維持
枯れ落ちた葉や花を鉢の中に放置しておくのも、虫を発生させる一因となります。
植物も枯れてしまえば、有機物として虫が分解しにやって来るためです。
また、土壌の水分の蒸発を阻害・保持し、ジメジメした環境を作り出しやすいということにもつながってしまいます((対策2を参照))。
落ち葉や枯れた花は除去し、鉢の中を清潔に保つことが虫の発生を抑える対策となります。
- 落ち葉、枯れた花は除去し、鉢の中をきれいに保つ。
対策4. 植物を健康的に育てる
植物を健康な状態に保つことも、害虫対策として重要です。
不健康な植物は、葉の表面の保護が弱くなってしまい、害虫に吸汁されやすくなります。
さらに免疫力が低下していると病気にかかりやすくなり、害虫が付着した際に、より被害が拡大しやすいと言えます。
置き場所や生育方法の見直し
植物を健康的に生育するために、土が乾いてから水をやる、日当たりが良く風通しの良い場所に置く、といった生育方法の基本を押さえましょう。
これらは植物周りをジメジメした環境にしないこと(対策2)にもつながります。
植物の茎や葉をよく観察することも大切で、生育環境が植物に合っているか、害虫が付着していないかを頻繁にチェックすることで、問題があっても早期発見でき大きな被害を回避できます。
- 生育環境やお世話の仕方に気を遣う。
- 植物をよく観察する。
丈夫な品種の植物を選択
上述のように、元気な植物は害虫の被害に遭いにくいと言えます。
植物を選ぶ段階で、比較的枯れづらい初心者向けの品種を選択しておけば、日ごろのお世話が多少雑であっても比較的健康状態が維持しやすいです。
さらに葉が厚めで幹がしっかりとした品種であれば表面の保護が強く、害虫は吸汁しにくいため付着する確率が下がります。
このような品種の植物を選べば、害虫に悩まされる機会も減るでしょう。
サンスベリア、モンステラがオススメの観葉植物です。
- 枯れづらく、葉や幹がしっかりした品種を選ぶ。
対策5. (予防)殺虫剤や忌避剤を利用する
虫の発生原因に対する直接の対策というわけではありませんが、植物に虫が寄り付かないための予防法として、殺虫剤や忌避剤を利用する方法があります。
予防効果のある薬剤を散布・設置する、虫が寄り付きにくい匂いを発する植物を配置するといった方法になります。
薬剤の使用
殺虫剤として売られている市販の薬剤は、すでに発生してしまった虫を駆除するのに効果を発揮しますが、予防効果のある製品も多く、虫が発生する前の植物に対しても有効な場合が多いです。
予防効果の持続期間は数か月程度のものが多く、常に予防をしたい人は、効果が切れるタイミング毎に散布する必要があります。
薬剤は、植物地上部にふきかけるスプレータイプと、根から吸収させて植物中に殺虫成分を取り込ませる固形タイプがあります。
下記の薬剤が人気も高くオススメです。
- 住友化学園芸 ベニカXファインスプレー : 幅広い植物に対応したスプレータイプの殺虫剤。予防効果は1か月程度で、即効性もある。
- アース製薬 アースガーデン やさお酢 : 食酢100%由来で直接口にする野菜にも使用できるスプレータイプの殺虫剤。即効性は弱いが、2,3日おきの散布を2週間程度継続すると1か月程度の予防効果も期待できる。
- アースガーデン 園芸用殺虫剤 BotaNice : 土にまくタイプの殺虫剤で、溶けだした薬剤を植物が吸い上げるため、土壌中の虫だけでなく植物を吸汁する虫にも効果がある。予防効果は1か月程度で、即効性もある。
- 虫予防の効果を持つ薬剤を使用する。
忌避効果のある植物の活用
強い香りを放つ、虫に対して忌避効果のある植物を置くのも良い方法です。
ミントやレモングラス等のハーブの匂いは虫を近寄らせないと言われており、観葉植物のそばで一緒に育てるとその付近は防虫効果が期待できます。
ハーブは種類によって料理やお茶としても楽しめるため、虫対策以外にもいろいろと役に立つ植物だと言えます。
見る以外の実用的な用途を植物に求めている人は、ハーブを育成してみるのはいかがでしょうか。
- 虫が嫌う匂いのする植物を育成する。
まとめ
室内で育てている観葉植物に虫が湧いてしまう原因とその対策を大まかに4つ、加えて予防法を1つ紹介しました。
事前に可能な範囲で対策・予防をしておけば、虫に悩まされず、快適に植物育成が楽しめるでしょう。
育てる植物をこれから選ぶ方は、対策4で紹介しているように、丈夫な品種の観葉植物を選択すると虫発生のリスクが軽減され、失敗も少なくオススメです。
初心者にも育てやすい、生命力の強い観葉植物は下記の記事内でも紹介しています。
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