観葉植物をしばらく生育していると幹や枝だけでなく地中の根も伸びていき、植木鉢の中が窮屈になり、根詰まり状態となります。
また土壌も時間経過とともに含有栄養分が減っていき、病原菌が増加していることもあります。
土の粒も潰れていき、排水性や通気性が悪化するとともに保水性・保肥性も低下していき、生育環境として悪い状態になっていきます。
そのため定期的に植え替えを行い、生育環境のリセットを行わなければ植物の健康状態は損なわれ、最悪枯れてしまいます。
ここでは、植え替えを行う上でのポイントや手順を解説しています。
時期とタイミング
植え替えの時期は、気温が15度以上の5月中旬~7月上旬の春頃が好ましいです。
生育の止まる冬に行うのは、枯れるリスクが高いので厳禁です。
猛暑の夏や、寒い冬になる直前の秋は、植物に負荷をかける可能性があるため、基本的にあまりオススメしません。
ただし、生育環境や植物の品種によってはこの時期に行っても問題ない場合もあります。
植え替えのタイミングは下記の症状がみられた時で、1~2年に1度程度の頻度が目安となります。
- 鉢底穴から根が飛び出している
- 水の染み込みが遅くなった
- 葉っぱの色が悪い、水を与えてもしぼんでいる
- 鉢植えがすぐ倒れる
植木鉢の隙間から根がはみ出ていたら、根が植木鉢の中でいっぱいとなっている可能性が高いです。
その場合、根が鉢の中のスペースを占領してしまい、水はけが悪くなり根腐れしやすくなります。
土からの栄養の吸収効率も悪くなるため、葉の色が悪くなる等、植物の健康状態も悪化します。
また弱い風でも簡単に植木鉢が倒れてしまう場合も、幹のサイズに対して植木鉢が小さすぎる状態と言えますので、
より大きい植木鉢に上かえるタイミングであると言えます。
準備するもの
植え替えを行うときには、下記が必要になります。
- 植木鉢(ひとまわり大きいサイズ )
- 土
- 鉢底網
- 鉢底石(軽石や加熱土等)
植木鉢は現状のサイズよりひとまわり大きいものを用意します。
植え替え前が6号サイズなら7号以上、鉢の直径でいうと+3cm以上を選ぶと良いです。
植え替え前後で同じ号サイズでも、高さ方向が大きければそれでも問題ないです。
土は観葉植物に適したものであればなんでも良いですが、観葉植物用の未使用の培養土が手軽でオススメです。
ちょうどよい容量の土を購入しましょう。
>> 【観葉植物】失敗しにくい土の選び方のポイントとオススメは?虫対策も
鉢底網(鉢底ネット)は、植木鉢の鉢底穴から土が漏れ出ないために入れます。
鉢底穴のサイズと土や鉢底石の粒径サイズを照らし合わせ、土が漏れ出ないようであれば不要です。
鉢底石は植木鉢内の水はけを良くするために入れます。
植木鉢の底面が隠れる程度あれば十分です。
一般的に軽石がよく使われますが、ハイドロボールのような加熱土等、排水性の良い土でも代用できます。
観葉植物を枯らせる原因の多くは根腐れのため、鉢底石は重要にはなりますが、
鉢のサイズが小さく、入る土が少量になってしまう場合は鉢底石を省いてもかまいません。
また、植え替え時に使う道具は下記になります。
- 園芸用ハサミ
- 棒(ピンセット、割りばし等)
- 手袋(ゴム手袋、軍手等)
- 敷物(ブルーシート、新聞紙等)
ハサミは植物の根をカットするのに、棒は新しい土を鉢の隙間に入れるとき使用します。
手袋や敷物は、手や作業スペースが汚れないよう、あると便利ですが必須ではありません。
手順
植え替えは大まかに4つの手順で行えますので、慣れれば数十分程度で終わるかと思います。
土は完全に濡れた状態では作業しづらいので、水やりは植え替えを行う2,3日前からストップしておくと良いでしょう。
1. 苗を鉢から抜き取る
まずは植木鉢から苗を抜きます。
闇雲に幹を引っ張ると植物に負担をかけるため、植木鉢の縁を上からトントンと何ヶ所か叩きます。
または植木鉢と土の間に、細い棒などを差し込み隙間を空けます。
どうしても鉢から取り出せない場合は、植木鉢を割ってしまうのも手です。
2. 根のお手入れをする
鉢から苗を抜き取ることができたら、次に植物の根の手入れをします。
手やピンセット等で優しく、根から土をほぐしながら落とします。
無理にすべての土を落とす必要はなく、1/3程度落とせば良いです。
根がある程度見えるようになったら、黒ずんでいたり傷ついている部分がないか目視で確認し、あった場合はハサミで切り落とします。
根の大部分を切り落とすことになっても、全体の1/3程度が残っていれば、まだ復活できる可能性が高いです。
葉の量が多い植物の場合は、切った根の量に合わせて、葉の数も何枚か減らします。
これは、根から吸収する水分量よりも、葉から蒸散する水分量が極端に多くなってしまうのを避けるためです。
3. 新しい土を入れる
新しく用意した植木鉢の鉢底穴のサイズをみて、入れる土が漏れ出そうであれば、鉢底網をちょうどよい大きさにカットして敷きます。
その上に、植木鉢の底全面が隠れる程度の鉢底石を敷き詰めます。
鉢底石は網に入った状態で入れると、土と混ざりづらく、後の処理が楽になります。
植木鉢が小さい場合は、鉢底石はなくても問題ありません。
さらにその上に、鉢全体の1/3~1/2程度の土を入れます。
苗を仮置きし、植物の高さがちょうどよくなるように土の量を調節してください。
鉢の高さと中の土の高さの差が、最終的に数センチぐらいになればちょうどよいです。
最後に鉢の中に空いているスペースに土を足します。
棒で土をつつきながら、根の隙間までしっかり埋めていきます。
作業ができたら、背丈の高い植物の場合は支柱を土に差し込み、苗を固定して支えてあげましょう。
4. 水を与える
植え替え作業の最後には、鉢の底から流れ出る水の色がきれいになるまで、土にたっぷりの水を与えてください。
細かい粉塵が流れ出るため、次からの水やりでは受け皿の中が汚れにくくなります。
水やりによって土が収縮し、やっぱり土が少ないなと感じたら、土を継ぎ足しましょう。
植え替え後
植え替え直後は、観葉植物が新しい環境に適応してもらうため、あまり負荷をかけないようにして様子を見ましょう。
根は敏感な状態になっているので、追肥は厳禁です。
しばらくは風の当たらない明るい日陰に置いておくと無難です。
水やりは少し控えめにし、土の表面が乾いてからにしましょう。
新しい芽が出始めたり、葉や枝の成長がみられるようになったら、根が新しい土に定着した証拠となります。
置き場所や水やりの頻度を、植え替え前に戻して問題ありません。
この時期から肥料を与えても大丈夫です。
補足
使用後の土の再利用方法
植え替え前に使用していた古い土は、再利用することもできます。
土壌改良剤というものを使うことで土の中の微生物を増やし、栄養分・土壌の形質を回復させるとともに病原菌を減らすことができます。
土壌改良剤としては、パーミキュライト、パーライト、腐葉土、堆肥、燻炭等が使用されます。
袋に古い土と土壌改良剤を入れ、真夏の直射日光の下で2週間以上放置するだけで、別の植物への利用可能な状態になります。
使用後の土の廃棄方法
土を再利用しない場合、廃棄処分になるかと思います。
しかし、近くの山や公園に無断でばらまくのは不法投棄になる可能性があるため、要注意です。
廃棄するためには、下記のどれかを選択することになります。
- 自宅の敷地内にまく
- 自治体に回収してもらう
- 不用品回収業者に依頼する
- 土を購入した店、ホームセンターに回収してもらう
- 石材店、植木屋、造園屋に引き取ってもらう
自宅に庭がある場合はそこに土をまけば手軽に無料で済みます。
しかし集合住宅にお住まいの方は、難しい選択肢でしょう。
自治体によっては土の廃棄を行っている場所もあるようです。
廃棄可能である場合は、各自治体の指示に従い廃棄してください。
自宅や自治体で処理できない場合は、不用品回収業者に依頼するのが確実です。
有料にはなってしまいますが、すぐ引き取りに来てくれる業者が多いようで、自分で運搬する手間も省けて安心です。
受け入れてもらえる店は少ないようですが、土を購入した店やホームセンターでも回収してくれる場所があるようです。
問い合わせてみると、安く回収してもらえるかもしれません。
ただし回収できる量が土を購入した分だけであったり、専用のケースに土を入れる必要があったりと、回収の条件も設定されている場合が多いようなので、よく聞いてみましょう。
また近くの石材店や植木屋、造園屋など、土を扱う業者にも引き取ってもらえるケースがあるようです。
迷惑をかけない範囲で聞いてみるのも1つの手かもしれません。
植え替えでサイズを大きくしたくない場合
ここまでの説明では、ひとまわり大きい植木鉢に植え替え、より観葉植物を大きく成長させることを前提として説明しました。
しかし置けるスペースが限られ、観葉植物のサイズをそのまま維持したい場合もあるかと思います。
その場合は、伸びてきた根を短めにカットし、前と同じ鉢に植え替えます。
カットした根に応じて、葉の数を減らすことも忘れないようにしましょう。
まとめ
観葉植物の根と土壌の状態を良好な状態に維持するためには、定期的な植え替えが必要です。
不調な根や長すぎる根をカットし、土を新しくすることが主な作業内容となります。
植え替え直後は刺激を与えないように様子を見ながら生育すると、失敗は少ないでしょう。
観葉植物は植え替えの他にも、水やりや置き場所の変更、追肥といった定期的なお世話が不可欠です。
下記の記事にまとめましたので、ご参照ください。
>> 【観葉植物】基本的な育て方・定期的なお世話
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